不動産管理業 日次Webモニタリングレポート(PC詳細版)
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発行日: 2026年6月4日
作成者: COMUPAL株式会社
1. エグゼクティブサマリ
本日のレポートでは、不動産管理業界に多大な影響を及ぼす重要トピックを網羅的に分析し、実務における具体的なアクションプランを提示します。
昨日、和歌山県南部に上陸し、関東を直撃した台風6号は、各地に記録的な大雨をもたらし、6月3日午後9時に関東の東の海上で温帯低気圧に変わりました。東京都心で12時間降水量が173.5mmに達するなど観測史上1位を更新し、一時約140万人に避難指示が出されるなど甚大な被害が発生しています。マンションの駐車場冠水や共用部の雨漏り、破損といった建物被害が相次いで報告されており、管理会社は即座の現場点検と修繕対応、そしてオーナーへの迅速な状況報告を求められています。
金融市場では、長期金利の上昇を背景に、2026年6月のフラット35適用金利(借入期間21年以上)が年3.210%に引き上げられ、現行制度移行後で初めて3.0%台を突破しました。この急激な金利上昇は、購入検討者の賃貸留まりを促し、東京圏におけるマンション賃料の上昇トレンドをさらに加速させる構造的な要因となっています。実際に、東京23区の単身向けマンション家賃は11万円台に突入しており、管理会社にとっては更新時の適正な賃料値上げ交渉や、オーナーへの資産価値最大化提案を行う絶好の営業機会が到来しています。
行政および業界団体の動向としては、マンション管理計画認定制度の拡充が2027年4月1日から施行されることが閣議決定されました。これにより、新築段階からの認定取得や外部表示制度が導入され、適切な維持管理がマンションの市場価値に直結する時代が本格化します。また、全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)が令和9年度税制改正要望を策定し、空き家解体後の固定資産税特例維持や、宅建士の業務範囲拡大(空き家所有者情報の提供体制整備など)を訴えており、今後の管理ビジネスにおける新たな業務領域の開拓が期待されます。さらに、全国賃貸管理ビジネス協会(全管協)は「賃貸住宅修繕共済」の飛躍を重点事業に掲げ、オーナーの計画的な大規模修繕を支援する体制を強化しています。
以下に、本日の主要トピックと優先度をまとめます。
| トピック番号 | トピック内容 | 優先度 | 主な影響範囲 |
|---|---|---|---|
| トピック1 | 台風6号の上陸に伴う記録的大雨と建物・設備被害への緊急対応 | 即日対応 | 現場管理、緊急修繕、入居者対応、オーナー報告 |
| トピック2 | フラット35金利の3%台突破と東京圏マンション賃料の上昇構造化 | 今週中 | 賃料査定、更新交渉、オーナー提案、営業戦略 |
| トピック3 | マンション管理計画認定制度の拡充(2027年4月施行)と表示制度の創設 | 情報収集段階 | 管理組合運営、受託営業、資産価値提案 |
| トピック4 | 全宅連による令和9年度税制改正要望の策定と空き家対策・宅建士の職能拡大 | 情報収集段階 | 空き家管理、新規事業、法務・税務知識 |
| トピック5 | 全管協シンポジウム2026開催と「賃貸住宅修繕共済」の推進 | 今週中 | 修繕提案、共済販売、オーナーリレーション |
| トピック6 | 国交省によるエレベーター安全確保説明会の開催(全国8箇所) | 今週中 | 設備維持管理、リスクマネジメント、法定点検 |
2. 気象・防災情報
2.1. 台風6号の上陸に伴う記録的大雨と建物・設備被害への緊急対応
優先度: 即日対応
概要:
2026年5月27日に発生した大型の台風6号(チャンミー)は、6月1日に沖縄県を直撃した後、西日本の南を通過し、6月3日午前4時半頃に和歌山県南部に上陸しました [1] [2]。6月の台風上陸は2012年以来14年ぶりの異例の事態です [1]。台風6号は同日午後9時に関東の東の海上で温帯低気圧に変わりましたが、太平洋側を中心に記録的な大雨をもたらしました [2]。
徳島県南部、和歌山県南部、静岡県伊豆、神奈川県東部で線状降水帯が相次いで発生し [1] [2]、12時間降水量は三重県尾鷲市で478.5mm、東京都心で173.5mmに達し、いずれも6月の観測史上1位を更新しました [1]。東京都内では新気象情報運用開始後初となる「レベル4氾濫危険警報」が神田川や目黒川等に一時発表され、約140万人に避難指示が出されました [1] [2]。
この大雨により、神奈川県川崎駅前一帯でひざ下までの浸水やマンション地下・半地下駐車場の冠水が発生したほか [3]、鹿児島県では強風により100棟近くの建物被害が確認されています [4]。
管理会社への影響:
管理物件における甚大な物理的被害(浸水、冠水、雨漏り、風による破損)が発生しています。特に地下・半地下駐車場の冠水による車両水没トラブルや、エントランス・エレベーターピットへの浸水に伴う設備停止リスクは極めて高く、復旧費用や入居者への損害賠償問題に発展する恐れがあります。また、強風による屋上ドアの破損や看板の落下、ベランダからの飛散物による第三者被害も重大な賠償リスクとなります。
判断ポイント:
本日中に全管理物件の被害状況を網羅的に把握し、緊急性の高い修繕工事(エレベーター復旧、排水ポンプ稼働確認、破損箇所の仮養生)の優先順位を決定する必要があります。また、加入している火災保険・施設賠償責任保険の適用可否を即座に判断し、保険会社への事故受付手続きを開始しなければなりません。
オーナーへの説明:
被害が発生した物件のオーナーに対しては、以下のステップで迅速に連絡を行います。
1. 事実報告: 写真を添付し、被害の発生箇所と規模を正確に伝えます。
2. 対応策の提示: 提携施工業者による復旧見込みと見積り、および火災保険の「水災特約」や「風災特約」の適用可能性について説明します。
3. 安心感の提供: 管理会社が主導して復旧を進めている姿勢を示し、二次被害防止策(消毒や乾燥作業)もあわせて提案します。
入居者対応・現場対応:
現場スタッフは以下の具体的アクションを徹底します。
- 緊急巡回: 半地下物件、傾斜地の物件、エレベーターピット、共用排水口の詰まりを最優先で確認・清掃します。
- 入居者への注意喚起: 雨漏りや浸水が発生した住戸への聞き取りを行い、家電製品の避難や、共用部破損箇所への立ち入り禁止措置(カラーコーン設置等)を行います。
- 復旧作業のサポート: 水没した駐車場からの車両移動の立ち合いや、浸水エリアの排水・消毒作業を迅速に行います。
営業機会:
災害対応における迅速かつ誠実な動きは、オーナーからの信頼を勝ち取る最大の機会となります。また、自主管理オーナーや他社管理で対応が遅れている近隣物件に対して、「災害に強い管理体制」をアピールすることで、新規受託営業の強力なフックとなります。
参照: tenki.jp(2026/06/03)、テレビ朝日(2026/06/03)、テレビ朝日(川崎浸水)(2026/06/03)、南日本放送(2026/06/03)
3. 法令・行政動向
3.1. マンション管理計画認定制度の拡充(2027年4月施行)と表示制度の創設
優先度: 情報収集段階
概要:
2026年5月15日、政府は「マンション管理・再生の円滑化等のための改正法の一部の施行期日を定める政令」等を閣議決定しました [5]。これにより、2025年5月に公布されていた改正法の一部の施行期日が2027年4月1日に正式決定されました [5]。
今回の改正の目玉は、既存の「マンション管理計画認定制度」の拡充です。これまでは既分譲の管理組合が申請対象でしたが、2027年4月からは新築時の分譲事業者による認定申請が新たに導入されます [5]。これにより、分譲段階から適切な管理計画が策定・認定される仕組みが整います。
さらに、認定を受けたマンションであることを外部から視認できる「表示制度」が創設され、適切な管理が行われている建物の可視化が推進されます [5]。
管理会社への影響:
管理計画認定の有無が、マンションの資産価値(中古売買価格や賃料設定)に直接反映される時代が本格化します。新築分譲時の管理受託競争において、デベロッパーに対して「認定取得を前提とした管理仕様・長期修繕計画の策定」を提案できるかどうかが、受託獲得の成否を分けることになります。また、既存受託物件においても、管理組合に対して認定取得をコンサルティングする能力が強く求められます。
判断ポイント:
自社の受託管理マンションにおける認定取得率を向上させるための専門部署の立ち上げや、既存フロントスタッフへの研修制度の構築を検討すべきです。また、デベロッパー向けの新築受託営業提案書に、管理計画認定申請のサポート業務を標準パッケージとして組み込むかどうかの意思決定を行います。
オーナーへの説明:
分譲マンションを賃貸運用している1棟オーナーや区分オーナーに対しては、以下のように説明します。
- 「2027年4月より、適切な管理が行われているマンションには公式な認定マークが表示されるようになります。これにより、入居者選定時のアピールポイントとなり、将来的な資産価値の維持・向上が期待できます。当社の管理を通じて、認定基準を満たす維持管理体制を今から構築していきましょう。」
入居者対応・現場対応:
現場レベルでの直接的な入居者対応はありませんが、管理計画認定の基準となる「共用部の適切な清掃」「違法駐車・駐輪の是正」「消防用設備等の点検実施」などを、日常の巡回管理において高い水準で維持し続けることが求められます。
営業機会:
管理計画認定制度の取得サポートを「有償コンサルティングサービス」としてメニュー化することで、新たな手数料収入(ノンアセットビジネス)を創出できます。また、自主管理や他社管理で認定取得に苦慮している管理組合に対し、取得支援を切り口としたリプレイス(管理会社変更)営業を展開できます。
参照: パコラ(国交省発表)(2026/06/03)
3.2. 全宅連による令和9年度税制改正要望の策定と空き家対策・宅建士の職能拡大
優先度: 情報収集段階
概要:
全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)は2026年5月29日の理事会において、令和9年度税制改正及び土地住宅政策等に関する要望書案を決議しました [6]。
税制面では、相続空き家の譲渡所得に係る3,000万円特別控除の築年数要件(現行:昭和56年5月31日以前)の見直しや、空き家を解体してさら地化した場合に一定期間は住宅用地の固定資産税特例措置を継続する新たな税制特例の創設を求めています [6]。
政策面では、銀行の不動産仲介業参入阻止を明確に打ち出す一方、宅建業者・宅建士の業務範囲拡大として、空き家所有者情報の提供体制整備や、住民基本台帳の「特定事務受任者」に宅建士を含めることを要望しています [6]。
また、国交省・警察庁からの要請を受け、マネーロンダリング対策の「統括管理者」を各会員企業で選任(小規模事業者は代表者が兼任)する方針も示されました [6]。なお、全宅連の会員数は10万1,550社(前年比496社増)と8年連続で増加しています [6]。
管理会社への影響:
空き家解体後の固定資産税特例が実現すれば、オーナーに対して「将来の売却や建て替えを見据えた空き家解体」を提案しやすくなり、土地活用や建築受注の機会が広がります。また、宅建士が住民基本台帳の特定事務受任者になれば、所有者不明土地や相続登記未了物件の追跡調査が容易になり、仕入れ業務や空き家管理ビジネスの効率が飛躍的に向上します。
判断ポイント:
全宅連が推進する空き家対策やマネロン対策にいち早く対応するため、社内のコンプライアンス体制(代表者による統括管理者兼任の登記・規程整備)を整備する必要があります。また、地域における「空き家管理ビジネス」の本格参入に向けた事業計画の策定を判断します。
オーナーへの説明:
相続等で空き家を保有し、維持費や税金に悩んでいるオーナーに対しては、以下のようにアプローチします。
- 「現在、業界団体を通じて、空き家を解体してさら地にしても固定資産税が急増しないような税制改正が強く要望されています。将来的な売却や、駐車場・戸建賃貸への建て替え計画を立てる絶好のタイミングが近づいています。当社で最適なシミュレーションを作成しますので、ぜひご相談ください。」
入居者対応・現場対応:
現場においては、マネロン対策の一環として、賃貸借契約時の本人確認(本人確認書類の提示とコピー、在籍確認など)をこれまで以上に厳格に実施し、疑わしい取引(不自然な高額現金払い、法人の実態がない契約など)のチェック体制を徹底します。
営業機会:
「空き家管理サービス」をフックに、地域の潜在的な資産保有層(シニアオーナー等)との接点を作り、将来的な売買仲介や賃貸管理受託(リフォーム提案含む)へと繋げるロングテール営業が可能となります。
参照: R.E.port(全宅連要望)(2026/05/29)
4. 不動産市場・業界ニュース
4.1. フラット35金利の3%台突破と東京圏マンション賃料の上昇構造化
優先度: 今週中
概要:
住宅金融支援機構が発表した2026年6月の「フラット35」(買取型、借入期間21年以上、融資率9割以下)の適用金利は、最頻金利が年3.210%に引き上げられました [7]。前月の2.7%台から0.50%の大幅上昇となり、2017年10月に現行の団信付き制度となって以来、初めて3%台を突破する記録的な高水準となりました [7]。
この背景には、日銀の政策変更に伴う長期金利(10年物国債利回り)の上昇があります [8]。
一方で、住宅新報が発表した「2026年春の家賃調査」によると、東京圏のマンション賃料の上昇トレンドは止まるところを知りません [9]。都心部の価格高騰により、一般の実需層が都心に住めなくなり、城東・城北エリアや近郊郊外へと需要がシフトした結果、郊外の家賃も押し上げられています [9] [10]。東京23区の単身向けマンション(30㎡以下)の平均月額賃料は初めて11万円台に乗り、前年同月比12%増を記録するなど、家賃上昇は一時的な現象ではなく「構造的なトレンド」へと変化しています [10]。
管理会社への影響:
金利上昇によりマイホーム購入のハードル(月々のローン返済額)が劇的に上がったため、賃貸市場に留まる「賃貸継続層」が急増しています。これにより賃貸需要は極めて堅調に推移し、管理物件の稼働率(入居率)向上が見込める一方、更新時における「賃料増額交渉」の成功確率が飛躍的に高まっています。また、新築分譲マンションの価格高騰も手伝い、既存の優良な管理物件のプレミアム価値が高まっています。
判断ポイント:
既存の管理物件における更新時および新規募集時の賃料査定基準(プライシング)を見直し、一律での据え置きではなく、周辺相場の上昇を反映した「強気の賃料設定(目安:現行比3〜5%アップ)」を行うべきです。また、入居者の支払能力(家賃保証会社の審査基準)の適正性を再確認します。
オーナーへの説明:
収益最大化を望むオーナーに対しては、具体的な市場データを用いて提案を行います。
- 「金利上昇に伴う持ち家購入の見送りにより、賃貸需要はかつてないほど強まっています。実際に東京23区の単身向け家賃は前年比12%も上昇しており [10]、構造的な家賃上昇トレンドに入っています。次回の更新時には、周辺相場に合わせた家賃の適正な値上げ交渉(月額3,000円〜5,000円の増額)を当社が主導して実施し、オーナー様のキャッシュフローを改善いたします。」
入居者対応・現場対応:
更新担当者は、入居者に対して家賃増額の交渉を行う際、単に「相場が上がったから」と伝えるのではなく、管理体制の維持(共用部設備のアップデート、防犯カメラの増設など)や物価上昇に伴う管理コストの増加といった「合理的な理由」を丁寧に説明し、合意形成を図ります。
営業機会:
他社管理物件で「相場の変動に応じた賃料改定提案」がなされず、機会損失を出しているオーナーに対し、自社の「攻めのプロアクティブ管理(賃料最適化提案)」を提案することで、管理リプレイス(受託切り替え)を勝ち取る絶好の機会となります。
参照: 住宅金融支援機構(R.E.port)(2026/06/01)、モゲチェック(2026/06/01)、住宅新報(2026/06/02)、ダイヤモンド不動産(2026/05/28)
4.2. 全管協シンポジウム2026開催と「賃貸住宅修繕共済」の推進
優先度: 今週中
概要:
全国賃貸管理ビジネス協会(全管協)は2026年6月3日、パレスホテル東京にて「全管協シンポジウム2026」を開催しました [11]。同日の定期総会において水野隆司会長が再任され、全管協は会員数1,794社、管理戸数約400万戸を擁する国内最大級のネットワークに成長したことが報告されました [11]。
全管協は2026年度の重点事業として、以下の3本柱を発表しました [11]。
1. 新商品・新事業の進化およびパートナー拡大(粗利3億4,000万円目標)
2. 家財保険販売の推進(全管協少短89.8万件、れいわ損保9.5万件目標)
3. 賃貸住宅修繕共済の飛躍(新規2,000件目標)
特に「賃貸住宅修繕共済」は、家主が将来の大規模修繕費用を計画的に準備できる画期的な制度です [11]。すべての共用部(外壁、屋根、廊下等)の修繕工事費が補償対象となるほか、毎年の掛け金を全額経費計上でき、解体費用も補償対象に含まれています [11]。
また、全管協少額短期保険は、2026年10月1日以降の契約から保険料を改定することを発表しています [12]。
管理会社への影響:
「賃貸住宅修繕共済」をオーナーに提案することで、資金不足を理由に先送りされがちな「外壁塗装や防水工事などの大規模修繕」を計画的に実施させることが可能になります。これにより、管理物件の物理的劣化を防ぎ、入居率の維持と資産価値向上を図ることができます。また、共済や家財保険(少短)の販売代理店手数料による、自社の安定的なストック収入(手数料ビジネス)の拡大に直結します。
判断ポイント:
自社の全受託オーナーに対し、賃貸住宅修繕共済の提案リストを作成し、特に築10〜15年を迎え大規模修繕の検討が必要な物件のオーナーに対して集中プロモーションをかける意思決定を行います。また、10月の全管協少短の保険料改定に伴う、社内システムや重要事項説明書の改訂準備を指示します。
オーナーへの説明:
大規模修繕の資金繰りに不安を抱えるオーナーに対して、共済のメリットを強調して提案します。
- 「将来の数千万円規模の大規模修繕に備え、毎年の掛け金を『全額経費』にしながら修繕費用を100%カバーできる『賃貸住宅修繕共済』の活用をおすすめします。万が一、老朽化で建て替えや売却をする際の解体費用までサポートされます [11]。税対策を行いながら、建物の価値を永続的に守るための最適な計画を当社が設計いたします。」
入居者対応・現場対応:
現場の営業スタッフおよびフロントスタッフは、賃貸契約時に家財保険の加入・更新手続きを漏れなく実施し、全管協少短の目標件数達成に貢献するとともに、10月の保険料改定について新規入居者へ正確に説明できるよう、改定内容を把握しておきます。
営業機会:
修繕共済の提案は、単なる管理業務を超えた「オーナーの資産防衛・タックスプランニング(節税提案)」のパートナーとしてのポジションを確立させます。これにより、オーナーの囲い込み(解約防止)と、大規模修繕工事の元請け受注による大幅な工事売上の獲得という一石二鳥の営業機会を生み出します。
参照: R.E.port(全管協)(2026/06/03)、全管協少額短期保険(2026/06/01)
4.3. 国交省によるエレベーター安全確保説明会の開催(全国8箇所)
優先度: 今週中
概要:
国土交通省は2026年6月3日、東京都港区で発生したエレベーター死亡事故から20年の節目を迎えるにあたり、昇降機の適切な維持管理を徹底するため、全国8箇所(仙台、東京、名古屋、神戸、広島、松山、熊本、那覇)で「昇降機の適切な維持管理に関する指針」等に関する無料説明会を開催すると発表しました [13]。
近年、民間の集合住宅やビルにおけるエレベーターの安全対策の遅れが深刻視されています。戸開走行(ドアが開いたまま動くこと)を防ぐ「二重ブレーキ(戸開走行保護装置)」の設置率は約4割にとどまり、残り約6割のエレベーターには依然として安全装置が設置されていません [14]。
国交省による改修費用の補助制度があるものの、直近5年間(22〜26年度)でこの補助制度を利用した自治体は、東京都港区、新宿区、荒川区、大阪市、堺市、神戸市、熊本県上天草市のわずか7自治体にとどまっており、財政負担の重さから対策が滞っている実態が浮き彫りになりました [14]。
管理会社への影響:
管理物件内でエレベーター事故が発生した場合、管理会社およびオーナーは「工作物責任(民法717条)」や「業務上過失致死傷罪」に問われる極めて重大なリスクを負います。特に安全装置(戸開走行保護装置)が未設置の老朽化エレベーターを放置していた場合、管理会社の善良なる管理者の注意義務(善管注意義務)違反が厳しく追及されます。
判断ポイント:
自社の受託管理物件のうち、エレベーターが設置されている全棟を対象に、「戸開走行保護装置(二重ブレーキ)」および「地震時管制運転装置」の設置状況を緊急調査する必要があります。未設置物件のリストアップを行い、メーカーによる改修見積りの取得を指示します。
オーナーへの説明:
エレベーター改修の費用負担を嫌うオーナーに対しては、法的リスクと補助金の活用を交えて強く提案します。
- 「東京都港区のエレベーター死亡事故から20年が経過し、国交省は安全装置の設置を強く指導しています [13]。現在、管理物件のエレベーターに二重ブレーキが未設置の場合、万が一の事故の際にオーナー様が巨額の損害賠償責任を負うリスクがあります。国や自治体の補助金制度を活用できるか調査の上、安全対策の改修工事計画をご提案いたします。」
入居者対応・現場対応:
現場の巡回スタッフは、日常の点検において、エレベーターの動作(段差が生じていないか、異音がないか、扉の開閉がスムーズか)を五感でチェックし、異常を感知した場合は直ちに保守業者に通報します。また、入居者に対して「エレベーターの安全な利用方法(扉に無理に挟まらない等)」の啓発チラシを掲示板に配布・掲示します。
営業機会:
エレベーターの法定点検や安全改修(リニューアル工事)をメーカー(独立系・純正系)と連携して管理会社が元請けとして受注することで、数百万円〜数千万円規模の工事売上・粗利を創出する機会となります。また、徹底したリスク管理姿勢を示すことで、オーナーからの「絶対的な信頼」を獲得できます。
参照: 国土交通省(昇降機説明会)(2026/06/03)、東京新聞(共同通信)(2026/06/02)
5. 管理業務アクションリスト
本日および今週中に、各部署・現場スタッフが確実に実行すべき具体的な実務アクションを整理します。
5.1. 現場管理・緊急対応(本日中)
- [ ] 全受託物件の台風被害調査:
昨日の台風6号による被害(雨漏り、浸水、破損、看板落下、植栽倒壊等)の有無を巡回および入居者からの通報ベースで網羅的にリストアップする。 - [ ] 半地下・低地物件の排水確認:
浸水リスクの高い半地下物件のドライエリア、およびエレベーターピットの排水ポンプが正常に作動しているか現場で確認する。 - [ ] 共用排水口の清掃:
泥や落ち葉が詰まり、二次被害(溢水)を引き起こす恐れのあるルーフドレンやバルコニー排水口を清掃する。 - [ ] 緊急仮養生の実施:
強風で破損した屋上ドアや窓ガラス、飛散の恐れがある外壁タイル等の仮養生(ブルーシート、防水テープ等)を即座に手配する。
5.2. オーナーリレーション・提案(今週中)
- [ ] 被災物件オーナーへの報告と保険手配:
被害のあった物件オーナーに対し、被災状況の写真を送付し、提携業者による復旧見積りの手配および火災保険(水災・風災)の申請手続きをサポートする。 - [ ] エレベーター安全装置の設置状況調査:
受託物件のエレベーターのうち「戸開走行保護装置(二重ブレーキ)」が未設置の物件を抽出し、改修見積りを取得してオーナーに安全改修を提案する。 - [ ] 賃貸住宅修繕共済の提案:
築10年以上の1棟オーナーに対し、全管協の「賃貸住宅修繕共済」のシミュレーションを作成し、経費化と大規模修繕資金の確保を切り口に提案を行う。 - [ ] 強気の賃料設定・更新交渉:
直近で更新を迎える入居者、および空室募集物件に対し、東京圏の構造的な家賃上昇(前年比12%増)のデータを元に、賃料増額(3〜5%アップ)の交渉・設定を行う。
5.3. 営業・企画(今週中)
- [ ] 災害対応力をフックにした新規受託営業:
今回の台風対応における自社の迅速な動き(巡回・仮養生・保険申請サポート)を実績資料にまとめ、自主管理オーナーや他社管理で対応が遅れたオーナーに対してリプレイス営業を展開する。 - [ ] 10月保険料改定の準備:
全管協少短の10月保険料改定に向け、募集パンフレットの差し替え手配、および重説テンプレートの改訂準備を始める。
References
本レポートの作成にあたり、以下の信頼性の高い情報源を参照しました。
[1] tenki.jp
日本気象協会「6月に台風襲来で記録的な大雨 台風6号は東へ 暴風・高波はまだ警戒を」(2026/06/03発表)
[2] テレビ朝日
テレ朝NEWS「【台風6号】3日午後9時に関東の東の海上で温帯低気圧に 気象庁」(2026/06/03発表)
[3] テレビ朝日(川崎浸水)
テレ朝NEWS「台風6号が猛威 神奈川・川崎駅前一帯が浸水被害 『ひざ下まで冠水』車の水没も」(2026/06/03発表)
[4] 南日本放送
MBCニュース「台風6号の強風で鹿児島は100棟近く建物被害“6月観測史上最大”の風も」(2026/06/03発表)
[5] パコラ(国交省発表)
パコラ「2027年4月1日に新制度施行、2026年5月に閣議決定されたマンション管理計画認定制度の拡充が東京や大阪の不動産採用市場を変える可能性」(2026/06/03発表)
[6] R.E.port(全宅連要望)
不動産流通研究所「全宅連、税制・政策両面で空き家対策の充実を要望へ」(2026/05/29発表)
[7] 住宅金融支援機構(R.E.port)
不動産流通研究所「フラット35最頻金利、借入21年以上は初の3%台」(2026/06/01発表)
[8] モゲチェック
MFS「住宅ローン金利2026年6月の最新動向【過去最大級の固定金利引き上げ】」(2026/06/01発表)
[9] 住宅新報
住宅新報社「2026年春の家賃調査 東京圏 家賃上昇が止まらない 都心に住めない層が押し上げ」(2026/06/02発表)
[10] ダイヤモンド不動産
ダイヤモンド不動産研究所「東京23区・単身マンションの家賃が前年比12%増の11万円台に突入」(2026/05/28発表)
[11] R.E.port(全管協)
不動産流通研究所「『3本柱で会員収益増大へ』/全管協がシンポジウム」(2026/06/03発表)
[12] 全管協少額短期保険
全管協少額短期保険「保険始期日(保険開始日)が2026年10月1日以降のご契約から、保険料を改定いたします」(2026/06/01発表)
[13] 国土交通省(昇降機説明会)
国土交通省 住宅局「あなたの所有・管理するエレベーターは安全ですか? ~エレベーターの安全確保について国土交通省担当官が説明します!~」(2026/06/03発表)
[14] 東京新聞(共同通信)
東京新聞「改修費用の補助、利用は7自治体 エレベーター6割に安全装置なし」(2026/06/02発表)